平成28年11月17日(木) |
トランプ氏勝利に伴う緊急月例集会(1) 〜〜国際政治はどう動く〜〜 |
浅海保先生
読売新聞東京本社元編集局長・同グループ副主筆
概要
トランプは、同盟国から米軍を引き上げるか、応分の費用負担を求めると言っている。この発言は過激だが、実はオバマだって同じようなことを言っている。「もはやアメリカは世界の警察官ではない」と。冷戦終結は、ソ連とアメリカの双方が軍事費の負担に耐えられなかったために起きたというのが真相で、単純にアメリカが勝ったわけではない。とっくに国際秩序は壊れていたのだ。
他国との協調なしに「偉大なアメリカ」の実現は不可能だ。孤立して富が得られるとは、実業家トランプも思わない。中国、ロシアについても当然やるべきことはやる、付き合う時はつきあう、ということになるだろう。
今後世界各国はどう動くか。日本などの同盟国は、アメリカを選び直す作業を強いられる。価格の上がった"会員費"を突きつけられ、損得勘定をし直さなければなくなる。中国は、好機と見ているかもしれない。ただ軍事力の差は大きい上、国内的な不安定要因もあるので、軍事的に思い切って踏み出してくるとは考えにくい。ロシアは、国内的に安定感があり、侮れない。アメリカはロシアとうまくやらないと、中東問題が解決できない。また中国とのDealを有利に進めていくためにも友好関係が必要だ。ドイツは、アメリカから独立したい思いが強い。大国ドイツの復活をめざしているのだ。ただ、難民問題、イギリスのEU離脱など、問題は山積している。
トランプ氏勝利に伴う緊急月例集会