政治経済部会作成要請書第10号、政府宛提出要請書通算134本目、平成22年4月提出
安全保障部会作成要請書第32号、政府宛提出要請書通算134本目
テロ時代にあたり、内閣府に主要国並みの統括的国際情報機関を設置いただきたき要請

【要請の趣旨】

我が国は800兆円といわれる膨大な財政赤字を抱えており、小泉内閣以来、鋭意、その圧縮削減に尽力されていることは、邦家のため英断であると、心から敬意を表しております。
 しかしながら、各省庁とも、その予算を圧縮削減するには、自己省庁の部局予算を圧縮削減しなければならないため、各省庁内からなかなか言い出せないので、ここは、総理直属の内閣府が、予算圧縮を主導されているのも、財政逼迫の折、やむをえない措置であります。 
 しかしながら、予算の中には、国家数十年の計から、必要不可欠と考えられる予算と、それほどでもない予算とがありますので、前者の国家にとって必要不可欠な予算、例えば、大震災、大規模テロなどへの対応・救済については、資金面で迅速に対処する必要があり、また、エネルギーの確保など国家の将来の存立にかかる費用については、時宜に応じて思い切った資金を投入する必要があります。
 バブル期など経済発展期には、予算編成を各省庁に委ねてもさほど問題はありませんでしたが、今日のように800兆円もの財政赤字を抱えているる経済収縮期には、省庁に予算を削減せよといってもなかなか骨肉を削ることはできないわけですから、ここは、やはり、総理、そして内閣府が、強い権限を持って、予算編成、そして執行に当たって、大鉈を振るう必要があります。その意味で、経済発展期が終わって経済収縮期のこんにちは、時代が大きく変わっているのですから、政府、政党、国民も、この時代の変化をよく認識する必要があります。
 アメリカなど、世界の先進国も、すでに、大統領や首相が、国家・国民の安全確保の事態が生じた場合に備え、大統領府や首相府に、かなりの資金をプールしていて、必要に応じて執行できる体制を採っております。
 そこで、我が国も、国家・国民の緊急救済・安全確保の必要が生じた場合に備え、予め、国会は、内閣府に大枠・特別枠の予算を付与し、資金面でも迅速に対応・執行できる仕組みを確立するよう、要請する次第であります。
 特に、国際テロ化時代に対応するためにも、内閣府へ「国際情報機関」を設置いただきたい。しかし、この提案に対しては、大統領制ならともかく、議員内閣制の我が国では、憲法第86条(国会による予算決定権)に反するとする説もありましょう。その点、本来は、憲法を改正することが望ましいところですが、現行憲法下でも、憲法第87条(予備費)の規定の解釈から、可能であると考えます。ともかく、国家・国民の差し迫った危機を救済し、国家・国民の将来の存立を確保するためには、早急にこうした措置を講ずることが不可欠である、と考えるからであります。
 いま、この要請の趣旨として、その項目を掲げますと、
1、我が国にとって、情報収集能力こそ、国家・国民の存立・安全のため、最重要課題である。
2、主要諸外国はみな、アメリカのCIAをはじめ、自国独自の対外情報機関を持っている。
3、我が国では、いくつかの省庁に部署があるが、テロ時代、統括する情報機関が必要である。
4、日本は、友好国の情報機関から情報をもらっているが、外国の情報機関はすべての情報を提供してくれるわけではないので、日本独自・自前の情報収集・分析、対処が必要である。
5、情報収集・分析、対処は、それぞれ専門家を必要とし、したがって、外務省、内閣調査室、警察庁、防衛省、税関、宇宙衛星情報機構、高度通信技術部門、等々の機関・組織が、バラバラではなく、互いに連携・協力しなければ、正しい調査・分析・対応はできないのが、実態・現実である。
6、日本が、戦後、そうした機関・組織を持たなかったのは、敗戦により、安全保障の基本をアメリカに委ねた名残であるが、日本も真の独立国であれば、テロ対策に備えるためにも主要国並に「対外情報機関」を設置し、それを統括するため、内閣府に設置すべきである。

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