教育部会作成要請書41号 政府宛提出要請書通算132本目、平成21年6月1日提出
学校教育制度改革の一環として六・三・三制を見直す必要性の論拠を、提供し、御検討いただきたき要請

【要請の趣旨】

近年、日本の制との学力が、国際比較においてかなり低下していることが、問題視されている。特に、中等教育は、受験体制に浸食され、その質が大きく低下している。その是正のためには、これまでの6・3・3制について、思い切った制度改革を行う必要があることを論証する。すなわち、私どもは、5・4・4制にするのが最も合理的だと考えるが、一挙に改革することは混乱を招くので、まずは、試行段階として、公立や私立の一部で、敷地・校舎などの状況から、可能なところから、5・4・4制に切り換えるべく、法制を改め、逐次、実行に移すよう、ここに提案する。この制度改革の理由の要旨を、以下に挙げる。
1)まず、現行小学校6年制は、戦後次第に、児童・生徒の身体的・精神的な発育度が変化してきており、そうした発育程度に大きな差がある1年生と6年生とを、同じ学校で学ばせる意義が低下し、むしろ弊害の恐れがある。基礎教育としての小学校は5年間で、その目的を達する、と考える。
2)中学校については、現行の第3学年は、ほとんど高校への受験に追われ、落ちついて勉学することも出来ず、教師も指導がむずかしく、最も社会生活への基礎を身につけるべき時期に、十分な教育が行われず、しっかりした人格形成がなされていない。したがって、中学校は、4年制にすべきである。
3)高等学校においても、現行の第3学年は、ほとんど大学受験のために追われ、落ちついて勉学ができず、教員も十分な指導ができない。現行の高校3年制は、一般社会へ出る人のためにも、社会人・社会生活への準備段階であるにもかかわらず、現実には、そうした成果がえられないでいる。したがって、当団体としては、高等学校も原則4年制にすべきである。ただ、優秀な生徒には、テストの結果、「飛び級」で、3年間で卒業できる道を開いても、よいろ思う。けだし、高校ぐらいになると、能力の個人差が大きくなるからである。
4)なお、現行義務教育では、小学校は満6歳から入学するが、現代の児童の発育状態から、満5歳から小学校へ入学してもよいのではないか、と考える。けだし、調査研究によると、知的発達・対人関係といった点で、その発達段階が5歳児と6歳児とでは、さして変わらないという調査結果がでているからである。しかし、5歳児から入学となると、幼稚園からの反対が予想されるので、その辺は、慎重な調整が求められる。
5)先進諸外国では、前世紀から、児童生徒の発達状況から、いろいろと制度改革が行われているが、我が国は、旧態依然であるところに、学力低下が浮上してきている。我が国も今こそ、行政、学者、学校関係者、保護者が参加して、こうした5・4・4制への移行を真剣に検討すべきである。また、意欲ある地方にそうした施策を可能にさせるべく、法を改正し、また国から権限を移譲するなど、試行段階に早急に入るようにすることを、提案する。

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