安全保障部会作成要請書30号 政府宛提出要請書通算128本目、平成21年6月1日提出
我が国の集団的自衛権行使の態様につき、
具体的事例を列記して、その正当性の論理を提案する

【要請の趣旨】

北朝鮮が、平成18年に、ミサイルを連続発射し、かつ地下核実験を成功させた、と宣言したことは、わが国の安全を揺るがす重要事態である。日本から遠く離れた中東ならばともかく、北朝鮮からの核攻撃となれば、その現実的危険性は極めて高い。
 それは、まさに、日本の集団的自衛権は、いかなる事態と態様において発動されるべきか、が問われる。この点は、安倍前総理が問題提起をされたが、これは、福田康夫内閣においても、引き続き緊急に検討されるべき国家的課題と考えるので、私どもはこの課題と取り組み、その結果、いかに対応すべきか、その論理を構築したので、御提案申し上げる次第である。
1)まず、わが国における集団的自衛権行使の実態と態様については、それが、日本国憲法第9条の規定の解釈、日米安全保障条約との関係、そして、国連憲章第51条記載の個別的・集団的自衛権との関係、具体的には、国連憲章第41条の戦闘状態に入らない段階での臨検などの場合、さらには、国連憲章第42条の国連軍ないし多国籍軍に参加しての戦闘状態下での臨検などの場合等々、国内法、条約、国連憲章の各条項がぶつかり合う関係にあるところにむずかしさがある。出来れば、現行憲法を改正して解決することが望ましいが、それが簡単ではないため、いわば解けないパズルと言われるが、当団体が提案する論理を採用すれば、解けてくる、と説くものである。詳細は、要請書本文を見ていただくが、要旨を挙げると、
2)憲法学では、特に現行憲法第98条の解釈をめぐり、憲法優位説と国際法優位説との対立がある。この憲法施行後、被占領下にあった時代はもちろん、対外的交流が少なかった時代は、国民も、日本国中心の考え、また一国平和主義の思想が横行し、国際法優位より、憲法こそ最高であると考える憲法優位説が有力であった。しかし、日本の国際社会参加が進み、経済的・政治的に日本の国際的地位が高まるにつれ、また、湾岸戦争の際、大金を出したにもかかわらず、国際評価が得られなかったことから、日本国民も、一国平和主義ではなく、国際貢献主義でなければならないことを自覚するようになった。それに伴い、学問的にも、国際法が憲法に優位するとの「国際法優位説」が台頭しつつある。したがって、この課題は、批准加盟した日米安保条約・国連憲章に基づいて判断すべきである。
3)そこで、国連憲章41条の場合、日本の艦船が米艦船と共同行動中に、北朝鮮艦船が米艦船を攻撃してきた場合、日米安保条約により、米艦船を助けるべく、日本艦船も北朝鮮艦船を攻撃できると解すべきである。また、国連憲章第42条の日本が国連安全保障理事会の認めた国連軍ないし多国籍軍に参加しての適性国艦船からの攻撃に対し、日本は国連加盟国である以上、他の国連軍艦船を助けるため、武力行使ができると解すべきである。これらの場合、もし、日本の艦船が、同盟国ないし国連軍の艦船に協力せず、黙視したり逃げ帰れば、日本は世界の笑い物になり、今後、日本艦船が攻撃されても、同盟国ないし国連軍は、誰も、日本を助けることはしなくなるであろうとする要請書。

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