医療福祉部会作成要請書第7号、政府宛提出要請書通算124本目、平成18年2月22日提出
グループ診療システム創設についての要請

【要請の趣旨】

わが国は、いまや世界に例をみない超高齢社会へ突入している。したがって、医療制度も高齢社会にふさわしい対応を考えなければならない。担当省庁も、いろいろと検討・対処されてはいるが、当団体・医療福祉部会としても、検討を重ね、その結果、ここに、「グループ診療システム創設についての要請」書を纏めた次第である。
その動機は、患者が、都市部では各種診療部門が揃っている大病院へ集中する傾向が強く「3時間待ちの3分診療」などの声が聞かれ、大病院本来の機能が低下している。その反面、地方などでは、大病院が少なく、いわば、内科、小児科、皮膚科、眼科、婦人科等々、単科診療所が多く、その診療所経営も年々苦しくなっている傾向がある。
そこで、当団体では、前記の過剰診療傾向の大病院と、患者が少なく経営が苦しい地方の診療所、との間を調整して、国民に対してより合理的な医療・福祉を提供するべく、街の診療所を再編成する方式として、この「グループ診療システム」制度を提唱する次第である。
今その柱となるものを挙げると。                            

1、「グループ診療システム」創設の問題意識、必要性について
2、「グループ診療システム」とは、いかなるものか。
3、「グループ診療システム」導入に際して、現行法上の制約について。
4、「グループ診療システム」導入のための、法の改正など法的整備の具体的事項
 a.受付、待合室、検査室等の共同利用を前提とした共同診療所を許容するための法整備
 b.医療設備・機器等の共有化への整備
 c.患者診療情報の共有化への整備
 d.共同利用機能の診療報酬上の整備
 e.薬局・訪問看護ステーション等の機能の共有化への整備
5、「グループ診療システム」推進のメリットについて
 a.地域の診療所が協同することにより、患者の求める多様な医療を提供できる
 b.医師も交替で診療に当たることが出来、地域での24時間対応が可能になる
 c.医師自身も研究の時間が取れ、地域医療を志すプライマリーケア医師の育成拠点となり、優秀な医師の開業へつながる
 d.現在の患者の大病院志向を抑制し、診療所受診の割合を増やし、地域医療と入院治療を中心とする大病院との機能分化・効率性を図れる。
 e.地域診療に、治療にとどまらず、病気にならない健康指導の機能も持たせられる。
 f.地域診療に在宅医療介護の役割も期待できる。
 g.医師が単独開業すると莫大なコストがかかるが、「グループ診療システム」によれば、各種機能を共有化できるために、開業の初期投資が少なくてすみ、また、経営上の収支バランスも健全化することができ、したがって、国民に対してより高いサービスを提供でき、かつ、国民の医療費負担の軽減にも資することができる。

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