安全保障部会作成要請書28号、政府宛提出要請書通算123本目、平成18年2月22日提出 |
周辺事態法及びテロ特措法・イラク特措法の一部規定は 我が国の国際的信用を失墜させる恐れがあるので、 改正して頂きたき要請 |
【要請の趣旨】
わが国は、自国の安全保障のみならず、広く、国際社会の平和に貢献するための措置として1999年に「周辺事態法」、2001年に「テロ特措法」2003年に「イラク復興支援特措法」を制定しております。そして、これら3法のうち、「テロ特措法」及び「イラク復興支援特措法」に基づき、わが国の自衛隊は現在、ペルシャ湾付近およびイラク領土内において、それぞれ、地域安定化・イラク復興支援活動に従事しております。
しかしながら、そうした自衛隊の活動は、上記3法の規定上、様々な制約を受けております。例えば、いま、イラクの自衛隊は、近くにいる他国の軍隊に守って貰っておりますが、もし、その他国の基地が武装勢力から攻撃を受けて、自衛隊に救援を求めてきた場合、あるいは、自衛隊員が平和協力支援活動を行っている現場で、自衛隊とともに作業している他国の部隊員が攻撃され、自衛隊に助けを求めた場合などに、現在の上記3法によれば、「自衛隊は戦闘行為に巻き込まれない場所で、戦闘以外の非軍事的活動を、実戦に関与しない形で行う」こと、つまり「戦闘行為からの危険回避」が命ぜられているため、他国軍からの救援要請があっても、それを断って撤退することになります。
現時点では、そうした具体的な事態に遭遇しておりませんが、これから、何時そうした事態に遭遇するか分かりません。この時、もし、自衛隊が、他国を救援せず、逃げ帰ったという事が起きた場合、日本は、世界から軽蔑され、笑い物になり、国際的信用を失墜することになるのは明らかです。
私どもは、そうした事態が生じないうちに、上記3法律のうち、次の条項を、一刻も早く改正して下さるよう、お願いいたします。その詳細は、「要請の理由」を見ていただきますが、いま、その要旨を掲げますと次の事項となります。
(1)「周辺事態法」において「戦闘行為及びその危険が予測される場合における自衛隊の輸送活動の休止」を規定した第6条5項を削除する。
(2)同法において「自衛隊による後方支援捜索救援活動の制限」を規定した第7条4項の「ただし、当該海域において、現に戦闘行為が行われておらず、かつ、当該活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる場合に限る。」を削除する。
(3)同法において「自衛隊による武器の使用」を規定した第11条3項に検討を加える。
(4)同法において「後方地域における自衛隊の支援活動・捜索救助活動」から「武器・弾薬の輸送及び戦闘目的による軍用機への給油・整備」の除外を規定した別表第1の備考1・2並びに別表第2の備考1・2を削除する。
(5)「テロ特措法」及び「イラク復興支援特措法」においても、「周辺事態法」に準じた措置をとる。
(6)また、政府は、こうした改正の必要性を、国民に積極的に広報していただきたい。