教育部会作成要請書36本目、政府宛提出要請書113本目、平成16年1月13日提出
新しい時代にふさわしい教育基本法の制定を!
  ――教育基本法問題Q&A――

【要請の趣旨】

はじめに
 平成14年(2002年)は、明治5年(1872)年、我が国近代教育のスタートとなる「学制公布」から130年の節目の年でありました。明治維新の諸改革の中でも、「邑ニ不学ノ戸ナク、家ニ不学ノ人ナカラシメン事ヲ期」して行われた教育制度は、幾多の修正を経ながら75年間、我が国の基を築いた最も重要な改革であり、占領期のいわゆる「6・3制」の新教育体制もこの土台の上に建てられています。今年は、占領金制定されたこの戦後教育体制の中核となる教育基本法制定から56年、この間一度も改正されることなく今日に至っており、前文にある通り、「この理想(憲法)の実現は、根本において教育の力にまつべきものである」との立場から、占領軍は教育基本法に憲法の実施法としての役割を与えました。このため、教育基本法は憲法と一体をなすものとの主張があり、主権国家として独立を回復して以降も、占領教育行政是正の最大の課題である教育基本法は、憲法とともに全く手付かずのままになっております。
 21世紀を迎え、我が国はもとより国際社会も、制定当時とは大きく変貌し、新たな時代、社会に対応する教育の在り方が求められております。いま、危機に直面している我が国の教育の建て直しを図るためには、新しい教育基本法の制定とともに、船後教育の構造的な改革を行わなければなりません。
 平成12年末、「教育改革国民会議」は、その最終報告において、17の提言を行ない、教育法令の根本法である教育基本法について、

(1)新しい時代を生きる日本人の育成
(2)伝統・文化など次代に継承すべきものの尊重・発展
(3)教育振興基本計画の策定など具体的方策の規定
の3つの観点から、新しい時代にふさわしい教育基本法を考えていくことが必要である旨提言しました。これを受けて、平成13年11月、文部科学大臣は中央教育審議会に対し「教育振興基本計画」の策定と「新しい時代にふさわしい教育基本法の在り方」について諮問しました。中教審は10月末の中間答申を経て、本年度末を目途に答申を行うとしています。戦後教育改革において、教育基本法の改正を真正面から取り上げたのは今回が初めてのことです。一方において、憲法改正を阻止しようとする勢力は、いわゆる「外堀論」を展開し、教育基本法に手を付けさせまいとしています。彼らにとっては、いまや憲法・教育基本法ともに「不磨の大典」となってきました。しかし、こうした評価は、戦後一貫していたのかと言えば、まさに180度の転換なのです。以下のQ&Aにおいて、教育基本法問題とは何かを明らかにします。

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