科学技術部会作成要請書28号、政府宛提出要請書108本、平成16年1月13日提出
ディーゼル車排気粒子状物質(PM)を
早期に削減する方法の実施についての要請

【要請の趣旨】

ディーゼル車は、ガソリン車に比べて、CO2の排出が少ないと言われ、また、燃料となる軽油が安価である、などの利点から、トラツク、バス、乗用車などに広く利用されてきた。しかし、近年、ディーゼルエンジンの構造上、どうしても軽油燃料の未燃焼物質として、黒煙、粒子状物質(PM、以下、PMと表記)が発生し、このPMには、発ガン性があることが分かり、大きな杜会問題となってきた。
 環境省、経済産業省・資源エネルギー庁、厚生労働省などの省庁・研究機関、そして、企業も、その対策に乗り出しているが、まだ本格的な対策は確立されていない。ただ、経済産業省・資源エネルギー庁の「ジメチルエーテル戦略研究会」は、2000年9月に、報告書『次世代軽油代替クリーン燃料のジメチルエーテル(DME)』を作成し、DMEの実用化と普及を2010年までに実現するべく、石炭や炭鉱メタン、天然ガスなど多様な資源を、その原料とする方針を打ち出している。
 こうした国の方針は正しいと思うが、ただ、10年後を目指すというのでは、あまりに時間がかかりすぎるので、当団体では、10年もかからず、早期にクリーン燃料・ジメチルエーテル(以下、DMEと表記する)を生産し、実用化する方法を見い出したので、それを、ここに、提案する次第である。その具体的提案の詳細は、以下の「要請の理由」を見ていただくが、いま、その要旨を掲げると、

1. DMEの生産を、石炭等によるのではなく、常温、常圧で液体であるメタノールを用い、かつ、すでに開発されている変換装置を利用すれば、メタノールをDMEに変換して、これを、ディーゼル車用軽油代替燃料として量産すること ができ、この方法によれば、2010年を待つまでもなく、ディーゼル車のPM・すすを排除し、環境浄化に貢献できる。
2. DMEを燃料とすれば、石油と同様に希薄燃焼が可能なため、既存のディーゼルエンジンをわずかに改良すれば運転が可能であり、燃費も軽油とほぼ同じであり、物流運送供給体制も便利であり、軽油代替燃料として大いに期待できる。
3. DMEは、黒煙の原因である炭素が結合しないため、PM・すすをほぼゼロにでき、また、硫黄分を含まないため、SOx(硫黄酸化物)を排出しないことから、大気汚染や酸性雨の抑制にもつながり、環境浄化に大きく貢献できる。
 かくして、本要請は、国に、PMの排出削減を早期に実現することを目的として、ディーゼルエンジン自動車の軽油代替燃料として、メタノールを原料としたジメチルエーテル(DME)の利用・普及を、早期に推進していただきたく、ここに、要請する次第である。

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