教育部会作成要請書34号、政府宛要請書通算105本目、平成12年10月16日提出
憲法改正にさきがけ教育基本法を新たに制定し抜本的な教育改革を進めるために 新たな教育基本法の制定により教育再興を求める要請

【要請の趣旨】

   教育基本法前文は、「われらは、さきに日本国憲法を確定し」との文言から始まっています。  これは、昭和21年11月3日、日本国憲法が公布され、昭和22年5月3日の憲法施行を前に、いわば憲法の実施法として、教育基本法が3月31日に公布・施行されたという歴史的経過を物語っています。連合国は、憲法と教育基本法を占領目的により、一体のものとして捉え、憲法施行に合わせて教育基本法の制定作業を進めました。わが国の教育の基本を定める法律が、こうした過去を語る文言から始まっていることで、果してよいのでしょうか。
 私たちは、現行の教育基本法が、日本の国の成り立ちに基づいて、伝統を重んじ、文化の継承と発展に尽くす「より良き日本人」の育成という立場から、記述されていないことを極めて遺憾に思います。この原因は、終戦直後、連合国側の日本占領方針が懲罰的な姿勢で貫かれていた時期であったことと無縁ではありません。独立回復後50年近くになるのに、占領の影響を色濃く残している教育基本法は、もはや歴史的文書といっても過言ではありません。
 今、21世紀を前に、日本国憲法について、立法府に憲法調査会が設置され、その制定経過から議論が進められています。この憲法と一体のものとして制定された教育基本法について、今日の教育の危機的状況を克服し、教育再興をはかるため、教育改革の第一歩として教育基本法の抜本的改正、すなわち、新たな教育基本法の制定が急務であると信じます。
 私たちは、「教育改革国民会議」がこうした気運の中で主体的な役割を果たされることを期待するものでありますが、当団体が、長年にわたって、政府に対して教育刷新・改革に関して、要請書を提出し、文教行政について提言してきた経緯にたって、いま改めて、「新たな教育基本法」の制定によって教育再興をはかる立場から、要請書を提出することといたしました。
 よろしく要請の趣旨をご理解賜り、速やかに対処せられますよう、御願い申し上げます。

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