安全保障部会作成要請書26号、政府宛要請書通算104本目、平成12年10月16日提出 |
総合的危機管理法制の整備推進についての要請 |
【要請の趣旨】
21世紀の国際安全保障情勢は、国際社会の安定化への様々な取組みがなされる一方で、地域紛争や大量破壊兵器・ミサイルの拡散など、依然として不透明・不確実な要因を孕みつつ流動的に推移するものと予想されます。我が国周辺においても南北首脳会談後の朝鮮半島、陳水扁新政権発足後の台湾海峡をはじめ予断を許さぬ状況が続くものと考えます。
このような情勢の中で、21世紀における我が国の平和と安全と繁栄を確実なものとするとともに、国際社会の中における我が国の立場を踏まえ国際社会の平和の構築と安定の維持に貢献していくためには、自分の国は自分で守るという気概をもって、国の危機(緊急)事態に対応できるような体制(態勢)を、整備しておくことが原点だと考えます。
このため、実現可能なものから、次のような総合的危機管理法制の整備を、ぜひ推進されたくお願い申し上げます。
1、従来、政府が進めてきた有事法制研究を踏まえ、速やかに第一分類(防衛庁所管の法令)・第二分類(他省庁所管の法令)の立法化を図り、これに関連して、我が国有事における米軍の行動に関わる法制・協定の整備を進めるとともに、第三分類(所管省庁が明確でない事項に関する法令)についても、国家の総力の結集、国民の生命・財産保護のための法制を中心に、立法化を進めること。
2、前項に関連して、グレイゾーンの事態というべき武装工作員の破壊行動への対処、さらには新たな対応を必要とする弾道ミサイル攻撃への対処のための、法制や行動規準などの整備を進めること。また、テロ、サイバーテロなど情報化時代を反映する新たな危険・脅威への対応策を講ずること。
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3、我が国の国際安全保障共同行動を適時かつ有効に実施するため、PKO協力法について、参加五原則を見直すとともに、武器使用基準の見直しや警護任務の付与を伴うPKO本隊業務参加凍結解除を、早期に実現すること。
4、前各項に関連し、我が国を襲う様々な危機(緊急)事態への対応の基本を律する危機管理基本法(仮称)の制定を図ること。