安全保障部会作成25号、政府宛要請書通算102本目、平成12年10月16日提出
防衛庁を『省』に昇格していただきたき要請

【要請の趣旨】

国の防衛は国家存立の基本であり、国の平和と独立を守ることは、国家・政府の最も基本的かつ重要な責務であります。このため、世界のいずれの国においても、国家防衛に任ずる行政組織には、それにふさわしい独立した地位を与えています。
これに対して我が国は、21世紀の新しい時代に的確に対応するため、「中央省庁等改革基本法」に基づく「1府12省庁」体制という大改革を、2001年1月から実施するにもかかわらず、防衛庁は、依然として戦後の負の遺産を背負わされて、内閣府の外局に据え置かれ、「省」への昇格を見送られました。
 一方、冷戦の終結に伴い、防衛庁・自衛隊には、従来からの「我が国の防衛」はもとより、「周辺事態への対応」、「大規模災害等各種の事態への対応」、および「国際平和協力業務の実施、安全保障対話・防衛交流の推進、軍備管理・軍縮分野における諸活動への協力等々、より安定した安全保障環境の構築への貢献」という、極めて広範かつ大きな役割が、内外から強く期待されてきています。
 したがって、今般の中央省庁等改革の趣旨に鑑み、我が国においても、21世紀における我が国の平和と安全と繁栄を確実なものとし、かつ、国際社会の平和の構築と安定の維持に積極的に貢献していくためには、「自分の国は自分で守る」という気概を持って、各種の体制を整備することが必要であります。特に、防衛庁の「省」昇格は、その中で最も重要なものであり、外交や財政などと同格の行政組織として、国の行政事務の中心に位置づけられるべきであります。
 現在、有志団体による「省」昇格への署名運動も進んでいると承知していますので、この際、早急に「中央省庁等改革基本法」を改正していただきたく、ここに、要請する次第であります。
 詳細は、以下の「要請の理由」を見ていただきますが、その要旨・項目は、次のとおりであります。

1、国家存立の基本である国の防衛に任ずる組織は、それにふさわしい位置づけをして、国家防衛機構を確立すること。
2、防衛庁は、冷戦後、従来にも増して、多方面にわたる積極的な国際貢献を求められていること。
3、防衛行政に関する適時性を確保するとともに、簡素化・効率化を期待できること。
4、国民の意識を高め、自衛隊員の士気高揚を期待できること。
5、防衛庁の「省」昇格は、他の省庁に影響しないこと。

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