科学技術部会作成要請書25号、政府宛要請書通算98本目、平成12年10月16日提出
生物系廃棄物の焼却率を削減し、
リサイクル活用するための諸施策についての提言

【要請の趣旨】

近代国家の実現は膨大な廃棄物を伴う。しかし、廃棄物を合理的に処理できなければ、真の近代国家とはいえない。廃棄物には大別して産業廃棄物と一般廃棄物とがあり、我が国の排出量はいずれも膨大な量であるが、今回の要請では、一般廃棄物の中の特に生ゴミを中心とする「生物系廃棄物」の有効利用について、政府へ御提言申し上げるものである。
けだし、生物系廃棄物はいま、ダイオキシン類をはじめ環境ホルモン問題など、人体に大きな害があることが明らかになり、これへの対策が焦眉の急となっている。
その対策として、詳細は後の要請の理由をみていただくとして、いま、その要点を挙げると、

1、先進国の中で遅れをとっている生物系廃棄物の処理方法につき、長期にわたっての処理方針とともに、短期的・段階的・継続的な対策を早急に検討し、国民に示していただきたい。
2、生物系廃棄物の燃焼処理比率が、先進諸国では20〜30%であるのに対して、我が国では、75%と異常に焼却率が高いので、焼却に拠らない処理方法の採用方針を打ち出し、これを将来、外国並に20〜30%の比率にする方針を掲げていただきたい。
3、燃焼に拠らない処理方法として、当団体では、(1)飼料化、(2)堆肥化、(3)炭化、(4)バイオ・ガス化、(5)ボード化、等々を提案する。また、これらの複合処理化を提案する。
4、廃棄物資材の供給元やその質や量、さらにはその再生産物の需要を確保するため、産業界、民間、国・自治体からなる協議会を設けるなど、その情報網を整備・確立していただきたい。
5、廃棄物の収集・運搬・流通のための機器の開発やインフラの整備の促進を図り、また、廃棄物資材の複合処理の地域の壁を外して全体的な稼働率を高める、などの政策を打ち出していただきたい。
6、この種のリサイクル・再生化事業は、その処理費用を、原則として、排出者・生産者が負担するとの原則を明らかにするとともに、他面、こうした事業への資本提供・労働力シフト化を奨励・促進し、事業として成り立つよう、国・自治体は、税法上、経済上、雇用上の支援体制を早急に策定していただきたい。
7、官公庁・自治体は、これら再利用・再加工品については、実情に即して品質・規格についての基準を設けるとともに、常にその品質向上を奨励し、かつ、率先して、これらの再生品を購入・使用するよう、より一層指導していただきたい。
8、以上の生物廃棄物の再生利用を進めるため、国は、廃棄物処理法はじめ関係法令を改正していただきたい。
9、現在、「一般廃棄物」「産業廃棄物」など、「廃棄物」なる用語が使われているが、上記のように、将来これらを有効利用し活用していく姿勢を示すためにも、国は、「廃棄物」なる用語を見直すとともに、学校教育などで、これら資材の再資源化の重要性を国民に訴え、リサイクル品・再生品の積極的使用をより一層、国民に啓蒙し呼びかけていただきたい。
 詳細は、下記の「要請の理由」を御覧いただき、国として早急な企画・立案を立てて下さるよう、重ねて要請申し上げる次第である。

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