科学技術部会作成24号、政府宛要請書通算97本目、平成12年10月16日提出
環境ホルモンに関する研究、法令、行政指導を
速やかに、具体的に実施せられたき要請

【要請の趣旨】

近年、内分泌攪乱化学物質、いわゆる「環境ホルモン」が、ナノグラム、ピコグラムといったごく少量であっても、貝や魚やワニなどの生物につき、男性を女性化するなど大きな影響を及ぼすことが判明するとともに、人体へも大きな影響があるのではないか、と心配されている。
先進諸外国では、この問題を重視し、早急に研究と対策がとられつつある。我が国でも最近、研究と対策が進みつつあるが、環境立国を目指す我が国としては、先進諸国以上に、この環境ホルモンの研究と対策に、迅速かつ重点的に取り組んで下さるよう、要請する次第でる。
詳細は、後述の「要請の理由」を見ていただくが、いま、その要点をあげると、

1、環境ホルモンの人体に及ぼす影響の重大性から、我が国も、諸外国に負けずに、早急な研究と対策に取り組んでいただきたい。
2、環境ホルモンが、人体に取り込まれる可能性がもっとも高いのは、まず、飲料水である。そこで、まず、飲料水の源となる河川・湖沼・ダムなどにつき、水中の(環境ホルモンといわれる)オクチル、ノニル・フェノール、ビスフェノール、フェタール酸エステル、エストロジェン等を、定期的に測定する対策をとること。また、これを除去する対策として、高機能鉱石セラミックや活性炭などによる吸着、あるいは化学的ないし微生物的な分解を、早急に検討していただきたい。
3、政府は、前記の水ばかりではなく、食品などについても、早急に、環境ホルモンである疑いがある物質すべてにわたって、それが、環境ホルモンであるかどうかの研究にとりかかっていただきたい。疑いのあるものはすべて検査対象にすべきである。
4、産業界や日常生活物資で、環境ホルモンの疑いのあるものは、危険性のない代替品に切り替え、あるいは危険性のない代替品を開発すべきである。
5、政府・自治体・研究機関は、右の研究を進めるに当たって、環境ホルモンの疑いがある物質については、情報公開法にもとづき、ただちにこれを公表し、国民にその危険性を知らしめる対策をとる必要がある。

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