いじめ対策分科会起案・教育部会作成要請書30号、政府宛要請書通算74本目、 平成8年1月提出 |
暴行・脅迫・恐喝を伴う残忍ないじめにより、死ないし自殺に到らしめた加害少年に対し、少年法等改正して、処罰・処分を強化していただきたき要請 ――凶悪・陰湿・残忍な少年犯罪に対しては、外国並みの処罰を!―― |
【要請の趣旨】
近年、恐喝・傷害・強盗など刑法犯に該当する事件が年間十数万件と激増し、いじめ事件も倍増し、いじめによる自殺者もあとを断たない。その一般的な事前対策は別の要請書で提案したが、本要請書では、こうした少年犯罪・いじめ事件が起きたのちの事後的対策を提案する。
諸外国では、少年犯罪の凶悪化から、応報刑主義に比重をおいた処罰に切り換えている。これに対し、わが国の体制は旧態依然とした教育主義・保護主義であり、世界の趨勢にも合わない。最近、日本でも、いじめ事件で、守られるのは加害者の人権で、被害者はやられっぱなしの感があり、法の下の平等や刑の均衡に反するという国民感情も出ている。
国は、まず、少年犯罪が、昔のような粗暴犯・単独犯ではなく、今日では凶悪・残忍・陰湿で、質的に成人の犯罪と変わらなくなっている現実を直視し、現行の処遇のあり方を早急に改めるべきである。
現在では、少年犯罪につき警察や検察が取り上げても、家庭裁判所でその90%が審判不開始ないし不処分とされてしまい、非行少年らはこれに自信を得て却って非行を繰り返す傾向がある。少年事件が質的に成人犯罪と変わらなくなっている以上、家庭裁判所において、弁護士をつけるとともに、検察官も出廷し、抗告権も認める対審構造を採った方がかえって加害少年・被害少年双方の人権保護に役立つと考えられる。
また、わが国は、少年に対する刑罰適用下限が14歳で、世界でも最も年齢が高い。現代少年は心身の発育が早く犯罪も低年齢化している折から、刑法・少年法等を改正して、現行の14歳を中学入学相当年齢の13歳に引き下げるべきである。なお、少年法の適用上限も、同様の理由から、現行の20歳未満から18歳未満に引き下げることが望ましい。
なお、こうした措置に伴い、少年事件に関する専門検察官を増員すべきであり、また、その矯正にはかなり日時のかかる実情から、少年院や教護院などの施設を充実するとともに、そこに従事する職員の人材確保・養成などに、早急に取り組んでいただきたい。