科学技術部会作成要請書9本目、政府宛提出要請書58本目、平成5年11月26日提出
有望なリサイクル・エネルギーとして、金属酸化熱の活用を国家政策として取り上げていただきたき要請

【要請の趣旨】

政府は、金属が酸化する際に高温のエネルギーを放出する原理を認識し、これを、我が国のエネルギー源として活用する国家政策を御推進いただきたく、ここに要請する次第である。  その筋道の要旨を説明すれば、
(1)金属は、本来、地球上に金属酸化物として安定した状態で存在していたものを、コークス、電力などエネルギーで加熱して取り出したもので、自然科学的に見て不安定な状態にある。
(2)そうした金属または合金を酸化して金属酸化物にする時、つまり、不安定状態の物質を安定化すると、高温の熱エネルギーが発生する。例えば、酸化鉄粉末とアルミニュウム粉末を混合して着火すれば、2000度を超える高温を得る。
(3)この金属酸化熱による高温エネルギーは、その利用範囲が広く、在来のスチームタービンによる発電の外にも、熱電効果による直接発電、各種高温反応炉、金属溶解炉、セラミック焼成炉、有害廃棄物の高温処理、等々に利用できる。
(4)しかも、この金属酸化熱は、高温であるばかりではなく、金属を自然に戻す作用なので、安全・無公害・良質のエネルギーであり、その残滓も危険性がない。
(5)高度物質文明化した我が国では、大量の金属や合金が作られ役立っている反面、耐用年数を終えた機械や自動車・家電製品もますます多くなり、一部は再生産されるものの、廃棄・放置されるものも多く、社会問題となっている。これらを金属酸化熱として活用し、かつ、やむなく埋立て処理場などに埋められた金属類も掘り起こして活用すれば、大幅に減容化でき、現在不足しているゴミ処理場の容量拡大にも役立つ。
(6)この金属酸化熱エネルギーを得る技術は、既存の技術、すなわち、選鉱、精錬、窯業、火力発電などの技術で可能であり、要は、それら各技術の統一・連携システム化にある。

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