科学技術部会作成要請書6本目、政府宛提出要請書54本目、平成4年4月提出
病院管理・地域医療・医療経済等に関する人材養成のため、大学・大学院に医療管理学課程の設置を推進いただきたき要請

【要請の趣旨】

人口の高齢化は、世界に類を見ないほど急速に進展しており、保健・医療・福祉にわたる緊急かつ総合的な対応が求められている。この超高齢社会を支えてゆくには、制度的な見直し・整備を急ぐとともに、その円滑な運営を担う新たな専門家の養成が緊急の課題である、との認識が病院や地域の現場に急速に高まっている。  特に、国民の健康確保の中核を担うべき病院を取り巻く環境条件は、極めて厳しく、すでに経営危機や看護婦不足など、の問題が、深刻な問題として表面化している。複雑化する医療制度や病院組織を円滑に管理運営するには、経営学や経済学も含めた高度の専門性を要求される時代になっており、医学教育のみ受けた医師では、もはや適切な対応は不可能となりつつある。
 また、病院等の施設のみならず在宅を含めた効果的な地域医療・福祉体制を確立することが高齢化社会を支えてゆく上で非常に重要であり、国も高齢者保健・福祉推進10ヵ年戦略などの施策を打ち出して取り組もうとしているところである。
 しかし、地域の現状は、従来からのいわゆる縦割り行政の流れもあって、医療と福祉の間の乖離は極めて大きい。また、異なる職種間の相互理解が困難であるなどの理由で、その統合による施策の有効な実施・推進を図る上で大きな障害となっている。
 これらの問題を打開するためには、病院等の経営管理ならびに地域における医療・福祉間の調整などを担い、従来の職種では不十分であった専門家を、大学および大学院において養成してその社会的な地位を確立することが、極めて有効であろうと考えられる。
 欧米においては、School of Public Healthや、 School of Health Administrationなどの施設によって対応してきて成果をあげている。また、最近に至って、経済学の立場から、医療経済学や公共経済学などに関する新たな専門教育の必要性が強く求められていると聞いているが、これも、ここで述べた社会的必要性と軌を一にするものである。
 当団体は、21世紀へ向けた豊かな社会を実現するために、医療・福祉の管理に関わる専門家を教育・養成することが急務であると考え、以下の事項について政府へ要望する。

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