教育部会作成要請書第6本目、政府宛提出要請書10本目、昭和58年3月提出 |
教育の荒廃を是正すベく、内閣に権威ある「教育改革のための調査会」を設置して頂きたき要請 |
【要請書全文】
昨今、学校内暴力・家庭内暴力の事件が続発して、「教育の荒廃」が改めて叫ばれておりますが、「教育の荒廃」は今に始まったことではなく、戦後十数年、言われ続けておりながら、いまなお「教育正常化」の実効が上がっていない、のが現状であります。
しかし、今や事態は深刻であり、このまま推移すれば、日本はやがて、人間性あるいは精神面から、崩壊するおそれなしといたしません。
この間にあって、文部省をはじめ、各省庁や公共機関が、出来るかぎりの努力をされていることは評価すベきでありますが、事態はすでに、現在の枠組みでは、解決しえない段階に来ております。
したがって、ここで真の「教育正常化」を図るためには、現在の教育のあり方を、抜本的に見直し洗い直すことが必要である、と考えます。
そこで、私どもは、総理がいま取り組んでおられます行政改革臨調と同様、教育改革のための強力な機関として、権威ある調査会を設置していただきたく、お願い申し上げる次第であります。
この「教育改革のための調査会」で取り上げる内容については、6・3・3・4制度、教育委員会制度、教員養成制度など、諸般の教育制度面の改革も必要でありますが、それに先き立って、教員の資質の向上はもとより、人間形成としての知育・徳育・体育、なかんずく、道徳教育のあり方、および家庭教育・社会教育・学校教育三位一体の相互補完など、「教育の本質」に立ち帰っての検討が必要であると考えられます。
なお、調査会の構成にあたっては、人物識見はもとより、各教育現場の実態をよく知る者も参加させるなど、「衆知を集める」ことを併せ御配慮いただきたく、ここに、そうした権威ある「教育改革のための調査会」の早急なる設置を、切に要請する次第であります。