令和元年10月28日(月)

『昭和天皇・拝謁記』
についての要約・解説!

古川隆久先生

古川隆久先生

歴史学者(日本近代史)・日本大学文理学部教授



概要

当初のころに、昭和天皇は、A級戦犯の東京裁判があり、世間による天皇の戦争責任論に胸を傷めておられ、戦争に入りたくなかったが、当時の軍部の専横下ではそれも出来なかった。退位ないし譲位を辞さない心境だが、道義上の責任を自覚すればこそ、再建のために一層務めたい、との趣旨を述べられている。また、サンフランシスコ講話条約により独立が認められた昭和27年4月に、独立回復を祝う式典でのお言葉の原稿に、先の戦争について国民に深い悔恨と反省の気持ちを表明する箇所が、吉田総理により削除された事情も記されている。なお、新聞報道などで、独立後は憲法を改正して再軍備すべしとある箇所が問題になっているが、私は、吉田元総理も岸信介首相も、当時、国連に加盟するためには、「自分の国は自分で護る」独立主権国家体制(再軍備)が必要と考えていたことを、ここに記し、昭和天皇のお考えも当然であることを、付言しておきたい。(清原記)
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