平成29年12月20日(水) |
東アジアの安全保障情勢を総括する! |
飯田将司先生
防衛省防衛研究所主任研究官
概要
北朝鮮のミサイルは、飛距離・正確性ともに向上し、ICBMはアメリカ本土に届く、と宣言した。核兵器の小型化にはまだ成功していないが、時間を稼げばミサイル性能は向上するので、アメリカとの直接交渉が可能になるとみている。核を持っていなければリビア同様潰されると考えており、核放棄はまずない。だが、核実験は行ってもどこかを標的に打つつもりはない。あくまで交渉の材料として使う。
中国は、フィリピンやベトナムとの関係改善、尖閣での挑発や対中スクランブル発進の減少など、日本との関係改善も図ってきており、一見柔軟姿勢に転じているように見える。ただ、南シナ海での実質支配は進み、軍事訓練の強化は継続、台湾での軍事訓練の頻度が増しているのも気がかりだ。習近平の権力強化は実現したが、さらなる権力強化に向かってどのような行動をとるか、東アジアの安全保障を大きく左右することになる。アメリカはトランプ政権になってから1年、方向が定まっていなかったが、最近ようやく「航行の自由作戦」の増加など、従来政策の継承路線に乗ってきた。戦略的忍耐もかわっていないが、より軍事的圧力を強化する方向に向かう。中国へも対北制裁を強化するよう求め、特に石油の輸出禁止を要求してくるだろう。中国は北朝鮮とアメリカの間で苦しい立場に置かれる。朝鮮半島の非核化が中国にとって理想で、これはアメリカも同じ。韓国による吸収が中国にとって最悪で、難民の流入も心配している。
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