平成29年5月22日(月) |
どうなる米中関係! どうする習近平! |
宮崎 正弘先生
国際関係評論家
概要
4月6日、7日に行われた米中首脳会談は、表向き和や
かな雰囲気ではあったが、経済の話をほとんど出さない、
会談中にアメリカがシリアにミサイルを撃ち込むなど、か
なりの駆け引きがあったという。米中は対決状態にあるが、
北朝鮮問題で凍結しているといえよう。アメリカは本土に
届くミサイルの完成をレッドラインとしており、それに対
し中国は「100日くれ、その間に何とかする」と回答し
たようだ。トランプ大統領罷免の噂が流れているが、オバ
マ政権の全否定を掲げる方針に左翼的なマスコミが噛みつ
いているのが実情で、報道されているほど窮地に立ってい
るわけではない。太平洋に展開している軍艦は2隻で、湾
岸戦争の時より少ない。また、金正恩の居場所も特定でき
ていないようなので、即時の北朝鮮攻撃の可能性は低い。
中国の一帯一路戦略は、中国国内で余った鉄銅や石炭の
使い道を探る目的と、石油供給源の確保という2つの目的
がある。新しいシルクロードはロシアを通らないので、プ
ーチン大統領は不快感を露にしたと伝えられ、ベトナムや
シンガポールといった敵対国も通る。中国経済のピークは
10年前だった。リーマンショックの後、莫大な公共投資
を行ったが、国有企業を潰さないように、無理矢理インフ
ラ整備を行っている。資金は人民元の増刷と米国債を担保
にした借金で賄っているが、いつか借金返済の時期が来た
ら、破たんのリスクは高い。外貨準備高も実質的ないに等
しい。低賃金で安く輸出して儲けてきたが、中国人の所得
が上がってきた今、そうした役割は周辺諸国へ移ってきて
いる。公称6.7% の経済成長率だが、これはでたらめで、
実際はマイナス成長である。根拠は、電力消費量が横ばい
で、鉄道貨物量が減っているからだ。また、国家統計局長
が逃亡する事件が起きた。賄賂をもらって数字をごまかし
ていたか、上がった数字がでたらめと分かっていて放置し
たかのどちらかだ。経済破たんが速く訪れれば、習近平が
党大会前に失脚する恐れがある。あるいは戦争に打って出
る危険性も高い。
●ご案内状(pdf)