平成27年5月29日(金) |
沖縄情勢に関する報告! |
小林正先生
元参議院議員・新緑風会政策審議会長
概要
沖縄では問題が山積している。ジニ係数が0.339と全国一であり、貧富の差が大きい。非正規雇用者の割合が2011年に40.8%、35歳未満では46.6%でこれも全国一である。子育て世代の半数が年収334万円未満であり、母子家庭の8割が年収155万円未満という状況だ。子育て世代への支援も日本一貧弱である。こうした現状を放置して、沖縄の翁長県知事は「仕事の8、9割は基地問題」などと公言している。こんなことでいいのだろうか。県民の福祉政策、経済政策にもっと力を注ぐべきである。
翁長知事は辺野古移設に反対を唱えて当選し、「これは県民の総意」と言っているが、決してそうではない。沖縄県知事選において、基地移設反対派の翁長氏と喜納氏の合計得票数は36万8641票(52.73%)であり、容認派の仲井真氏と下地氏の合計得票数は33万8381票(47.27%)であった。両者の得票数は実は拮抗しており、とても「県民の総意」とは言えない。
移設反対派の主張には、欠落していることがある。まず普天間基地の危険性除去についての対案がない。あの危険な状況を放置していて良いわけがない。また、東シナ海の安全保障環境の劇的な変化について触れない。県土を守り漁業者の安全を守るためにも、国と共同してあたることは重要課題であるはずだ。また、県議会事務局は、基地がなくなれば9155億5000万円の経済効果があるといっている。しかし、軍用地料(地代)がなくなり、土地の供給過剰による地価暴落も避けられない上、振興資金による土木建設事業も減少することを考え合わせると、とんでもない予測だといえる。米軍からの土地返還に対しては、逆に継続使用を自治体側がお願いしてきた歴史があり、いわゆる「象の檻」も返還されることになったときに、返還反対運動が起きている。