平成27年2月26日(木)

中国をめぐる直近の東アジア情勢!

宮崎正弘先生

宮崎正弘先生

評論家、作家、ジャーナリスト、国際エコノミスト



概要

中国はGDPが世界第二位となり、軍事力でもアメリカと肩を並べるようになった。その軍事力を背景に、世界各国と様々な軋轢を起こしている。アメリカも、以前はG2と呼ぶほど好意的だったが、国際会議で名指しで非難するほど距離を置き始めている。軍事力の劣るフィリピンやベトナムに対しては、資源開発を無断で行うなど、強権的な行動が目立つ。以前中国寄りだったシンガポールやインドネシアなどもスタンスを変え、インドも独自の経済圏をつくりつつある。アセアンは対中国で団結しつつある状態であるが、中国側も分裂工作を行っており、今後の動向が注目される。安倍首相が62カ国を回って日本の立場を主張している外交政策は今のところ成功していると言ってよい。
 中国は高い経済成長率を続けていると言うが、GDPの数字はでたらめだ。党の中央が翌年の成長率を発表すると、地方はその2,3割増しの数字を報告しているだけで、実態は把握できていない。実質成長率は2〜3%と見られ、不動産バブルもはじけている。中国の4大銀行は国営企業に多く融資しているが、そのほとんどは赤字で、供給過多をコントロールできていない。中国に投資を続けているのは今やドイツと韓国だけで、株価の暴落が起きる危険性がある。「失われた20年」が中国へ移行する日が来るかもしれない。習近平は「反腐敗キャンペーン」を盛んに行っているが、不正蓄財は後を絶たない。日清戦争のとき海軍力で下回っていた日本が勝てたのは、軍部が腐敗しきっていたからで、今もそれと似たような状態にある。

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