平成26年10月30日(木) |
最近の政治状況について分析し解説する! |
高橋利行先生
政治評論家、
元読売新聞解説部長・新聞監査委員長・編集局次長
概要
去る9月3日に第二次改造安倍内閣が発足したが、その矢先に2人の閣僚、しかも目玉に挙げていた女性閣僚が、政治とカネのスキャンダルによって辞任することとなった。これは、第一次安倍内閣が政治資金の問題や失言によって1年で倒壊した悪夢を思い起こさせる。いま、こうしたカネの問題を血眼になって捜しているのは社会部である。政治部には特ダネ抜きをやめようという紳士協定ができ、政治家とも癒着しているので昔のような厳しさがなくなってしまった。そもそも私は、その時の風によって選挙情勢がころころ変わり、首相も変わりやすくなるため、政治が安定しない小選挙区制に反対だった。政治とカネの問題をなくすために小選挙区制を導入したはずなのになぜこのような問題が起きるのかというと、政策の中身がどの党も大差がないため、有権者にサービスした議員が当選するような形に戻ってしまったからだ。また、小選挙区制は派閥の力を弱めてしまうので、人材が育ちにくいというもう一つのデメリットもある。世襲制がベストだとは言えないが、世襲の政治家に力があることは否定できない。今後も頼ることになるのではないだろうか。
今後の政治情勢をみると、来年9月に自民党総裁選があるので、それまでに衆議院総選挙が行われるであろう。消費税10%への引き上げは1年半ほど先送りされるのではないか。先送りを発表した後で解散総選挙に打って出れば、野党は候補者選びが進んでおらず、協力体制も出来上がっていないので、与党が大勝するとみこまれる。今後、安倍政権に望むことは、先に国会で約束した定数削減に手をつけることと、後に続く人材を育成することである。