平成25年9月30日(月) |
日本を取り巻く国際関係と我が国の対応! |
中西輝政先生
京都大学名誉教授、国際政治学者、歴史学者、元京都大学大学院教授
概要
最近、世界情勢に変化が出てきた。まず、中国経済がこの4〜6月期に、成長率が7%とかなり鈍化してきた。中国経済が破綻する可能性がある。政治的混乱も考えられ、その際、中国在留邦人13万人の救出を考えておく必要がある。次に、アメリカ・オバマ政権の変質である。例えば「アメリカの価値観を世界に押しつけるのはやめよう」などと発言。シリア内戦での化学兵器(サリン)使用に対して、シリア政府軍への空爆を宣言しながら、中国・ロシアの反対で出来ず、アメリカの世界への影響力低下を露呈した。また、日本が世界からどう見られているかについて、春ごろまでは、安倍政権に対して、中国・韓国の宣伝もあり、「日本は右傾化した。軍国化するのでは?」との見方もあったが、最近、「日本は意外と慎重だ」「中国の方がひどいのでは」「韓国の対日政策も行き過ぎ」との見方に変わってきている。
続いて、「東アジアの安全保障問題」について、2010年3月に、北朝鮮の潜水艦が魚雷を発射し、韓国の哨戒艦・天安を撃沈した戦闘行動に、韓国・米軍が相当の反撃を加えなかったことを見て、中国は同年9月、尖閣で、中国漁船をして日本巡視艇に体当たりさせ、様子を見たが、時の民主党政権は、中国の船長を逮捕したのに、中国の圧力に屈し、船長を釈放したケース。また、普天間基地の県外・国外移転要求で、北朝鮮による韓国哨戒艦・天安の撃沈への対応の甘さが、北朝鮮、中国のアジア支配への野望の切っ掛けとなった。
アメリカでは、2014年に中間選挙があり、通常、これが終われば政権はレイムダックとなり、国際政治における今後のアメリカの国際警察力が弱まる心配があるが、他方、中国も、シャドウバンクによる不良債権が200兆〜300兆円といわれるなど不安材料が沢山ある。日本は、こうした国際情勢を中長期的にみて対処すべきだとされ、一同、認識を新たにした。