平成25年3月28日(木)

北方領土をめぐるロシアの思惑と日本人の対応

名越健郎先生

名越健郎先生

拓殖大学海外事情研究所教授

概要

昭和20年8月、ソ連軍が千島列島に攻め込んだのは、前年のヤルタ会談で、ルーズベルト大統領がスターリンと秘密協定した際、ルーズベルトに北方四島は日本固有の領土との認識がなく、千島列島全部をソ連へ引き渡すことを条件に、ソ連に日ソ中立条約を破棄し、対日参戦をうながした密約にある。その返還交渉の好機は、1991年のソ連崩壊の際であったが、エリツィン大統領の訪日が国内問題で棚上げになったこともあるが、日本が外交的にもっとうまく立ち回ってほしかった。
 しかし、プーチン大統領の再登板でいまが返還交渉のチャンスである。プーチンは柔道五段で、娘にも日本語を勉強させている親日派である。特に、ロシアにとって、中国は脅威である。ロシアは経済的に中国に追い抜かれ、いまや中国はロシアの4.5倍のGDPを持っている。極東地域には沢山の中国人が移住し、中国に実効支配されるのではないかと恐れている。ロシアは経済面・軍事面から、いま日本の協力を必要としている。4月の下旬に、安倍総理が訪ロするが、ロシアからも再大手の国営石油会社社長やエネルギー相等々が来日する。来年には、プーチンの訪日があるので、その間に十分根回しして、北方領土返還を実現してもらいたい。  

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