平成24年3月30日(金)

『社会保障・税の一体改革』(民主党案)の説明

田中慶司先生

田中慶司先生

東京医科大学理事長、当団体・医療福祉部会長、
元厚労省健康局長


概要

 『社会保障・税の一体改革』(民主党案)は、A4版でびっしり50ページにわたって書かれており、一般には、なかなか分かりにくいと言われるものであるが、田中慶司先生は、まず日本の財政情況の厳しさを、パワーポイント映像を使い図形やグラフで分かりやすく説明した上で、この『一体改革』案の内容解説に入った。
 すなわち、この案は、政権交代する前の自民党時代でも論ぜられたもので、少子高齢社会への突入で、年齢構成比が逆転し若者の負担が年々重くなって行くし、社会保障費が予算の半分を占める事態をどう打開するかは、党派を超えた国家的課題である。
 この一体改革案が広範にわたるので、御解説も広範にならざるをえなかったが、その要点として、社会保障費増加を、悪いこととして捉えるだけでなく、例えば、現在でも医療・福祉産業で約700万人の雇用を生み出している事実も見据え、この一体改革で、社会保障費が需要・供給両面で経済成長に寄与するような政策をとるべきであるとし、その具体策を提起した。
 また、税制の抜本的改革面では、先進諸国はすでに消費税が20%を超えているのに、わが国だけ5%のままでいることは許されない。消費税増税は、安定財源確保とともに財政健全化を同時に達成するものである。ただ、その実施に当たっては、世代間の公平性を確保する必要があり、弱者を保護する対策とともに、経済力が高い個人には所得税を、景気のよい企業には法人税率を引き上げるなど、極めの細かい対策が必要であり、そのために国民番号制を採用することも考えるべきである、等々を論ぜられ、分かりやすく、大層勉強になりました。

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