平成23年12月26日(月) |
TPPの論点と日本の課題 |
石川幸一先生
亜細亜大学大学院経済学研究科教授概要
野田総理がAPECにてTPP(環太平洋経済連携協定)への参加を表明したことから、わが国も24分野の作業部会にて、どのような条件で交渉に臨むか、そのためにわが国の各分野における構造改革も考えなければならないという段階に入ったことでもあり、改めて、斯界の権威・石川幸一・亜細亜大学大学院経済学研究科教授に、御講話をいただいた。その要旨は以下のとおり。
まず、手続き的には、(1)現在TPPに参加している9カ国が日本の参加に同意すること。(2)米議会に参加通告されてから交渉開始まで90日との規定があるため、約3カ月は交渉に入れない。(3)参加国間で2012年までの妥結を目標にしているが、参加国間の意見の対立があり、まだ時間がかかるとみられるので、多少時間的余裕があり、日本としてはこの間に対策を立てるべきだ。日本はすでにWTOやEPAで自由化交渉をしているので、TPPへのハードルはそれほど高くない分野もある。続いて、TPPの交渉対象となる24分野のそれぞれについて、詳細な分析・解説をされ、日本にとってメリットな面もあるが、物品貿易、農業、サービス業、郵政、保険、政府調達、投資、電子商取引、労働、環境などの分野で不利な面もある。しかし、10年以内で構造改革することが認められるので、参加すべしと論じられた。