平成22年2月26日(金) |
日本ひとり負けは、なぜ起きたか! |
宮崎正弘先生
拓殖大学客員教授講話概要
国際社会における近年の日本の存在について、皆様どうお感じになっておられるでしょうか。不滅の大国ともいわれたアメリカがサブプライムローンそしてリーマンブラザーズの破たんなどにより、財政赤字に転落、失業率も10%前後となり、経済的疲弊は甚だしいものがあり、また、EUもそれらの影響に加えドバイショックに苦悩しております。
そして、我が国も、平成2年のバブル崩壊に苦しみ、数年前にやっと上向くかと思われたのも束の間、やはり海外の金融不況に災いされ、まさんい、失われた20年といわれております。
他方、中国の発展は目覚ましく、いまや、アメリカも中国に擦り寄り、日本もまた、数百人もの議員・関係者が中国へ出向いて、一人ひとり胡錦濤主席に謁見を賜る有り様です。中国の世界進出は目覚ましく、やがて世界は、ドルではなく元が基軸通貨となるとも言われます。
そうした心配の折、当協会の講師会員のお一人で、国際情勢の分析で有名な宮崎正弘先生がこれに警鐘を鳴らし、対策を論じておられますのでお話をいただきました。
その要旨は、鳩山総理は、「対等な日米関係を築く」というが、日本が核を持ち、相応の軍事力を持たないかぎり、ありえない。普天間基地移転問題も安全保障・核抑止力の認識がなく、日米関係の亀裂となりかねない。「日米中の正三角関係」ともいうが、国際情勢は数学の世界ではない。また「東アジア共同体の構築」というが、EUは同じキリスト教国で文化の共有もあるが、日中韓など東アジアは宗教も思想も文化も異なる。アメリカは、イラク、アフガニスタン戦争で疲弊し、サブプライムやリーマンショックで、経済力・軍事力ともに後退している。それに対して、中国は、世界の工場といわれ、新幹線・地下鉄網が建設され、GDPも日本を抜いて世界第二位になろうとしている。日本人は、そうした中国の表面目覚ましい発展ぶりをみて、中国へと傾斜しているが、中国の実態を分析すると極めて危険な要素が多いとして、たくさんの具体例を挙げられた。そして、日本人・日本政府は、世界のそうした実態をよく分析して、国家の進路・政策を構築しないと、日本の一人負けとなる、と警告を発せられ、一同認識を新たにしました。その後の意見交換も盛んでした。