平成21年6月29日(月) |
この国のゆくえ |
猪瀬直樹先生
東京都副知事講話概要
いま「百年に一度の世界的経済金融危機」といわれていますが、わが日本においては、1990年代のバブル崩壊の大打撃から、やっと景気も上向いてきた時だけに、今回の世界的不況の大波は、我が国にとりわけ大きな影響を及ぼしております。それ
は、明治維新、敗戦期に次いで、大手術を必要とする時期に直面している、といっても過言ではありません。
政界・財界も、民間も、その起死回生の道を探してはおりますが、その回生の方策
を掲げ、日本国を率いていく人材が少ないのも現実です。そうした折、猪瀬直樹先生
がいろいろと提言されております。猪瀬先生は、作家としてこの国の色々な面を客観
的に見てこられ、大学の教授もされ、また、税制調査会、地方分権改革推進委員会な
ど政府委員も務め、いま東京都副知事として、行政の実務を見ておられますので、ご
高説をうかがいます。
その要旨は、まず、青少年時代、母上が虎ノ門病院に入院された時、その屋上から
見回して、虎ノ門界隈には何故森ビルが沢山あるのだろうと大いに疑問に思った。そ
れは後に、霞ヶ関役人の天下り先として借りられていることが分かった。
その後、作家となり『ペルソナ 三島由紀夫』『昭和16年夏の敗戦』『日本国の
研究』を書いた動機のお話がありましたが、私たちはそこに、猪瀬先生の、常に疑問
を持ち、そして観察力にすぐれ、それが感性となって、作家として大成されたことを
感じました。それが又、後、政府委員に招かれ、時の小泉総理に、道路公団や行政改
革や公務員天下り廃止などの抜本的改革を進言し、採用されるにいたった「政治的感
性」となった、ことが分かりました。
猪瀬先生は、具体例として、地方が国に上納させられている直轄事業負担金につき、
地方は道路につき、建設費の3分の1、管理費の45%を上納させられている。し
かし、都道の目黒通りの管理費は国道に比べ、kmあたりの管理費が25%も安い。
国にそうした管理費の根拠を示せといってやっと出させても無駄が多い。我が国政治
も平成の20年間、小泉政権を別とすると、内閣は平均、1年3ヶ月の短命で、二大
政党が足の引っ張り合いをしているところが問題だ。国の政治を変えるため、東京都
から見本を示す考えだ、と述べられました。