平成21年4月28日(火)

最近の国際情勢分析と
わが国の外交、安全保障!

森本 敏先生

森本 敏先生

拓殖大学大学院教授、安全保障・外交問題の権威のお一人


講話概要

北朝鮮は、この4月5日に、長距離ミサイル・テポドン二号を、日本国の上空を越えて発射。北は衛星軌道に乗ったと発表しましたが、アメリカはじめ各国は軌道に乗った確認はない、としております。しかし、テポドン二号の飛距離は伸びており、我が国にとって大きな脅威です。そこで、日本は、国連安全保障理事会に厳しい決議を要求しましたが、中国・ロシアの反対があり、「議長声明」となったことは、残念なことです。北朝鮮の内情も動きがありそうです。
 その他、世界は、ソマリア沖海賊対策に悩み、日本も自衛艦二隻を護衛のため派遣しました。また、オバマ政権は、イラク撤退、アフガニスタン防衛の方針を打ち出しており、国際情勢は、大きく動いております。こうした時期だけに、安全保障・外交の権威のお一人、森本敏先生に御解説をいただくことにしました。
 お話の要旨は、まず、北のテポドンは、衛星化するには速度7.9km/秒必要だが、とてもそれだけの速度はなく、しかも2段目と3段目の切り離しにも失敗して、ハワイの手前で水没した。外部から見て失敗であっても、金正日にすれば、政治的に体制維持に役立った。日本政府は日本に落下すれば打ち落とすといったが、ノドンならともかく、日本を飛び越えてゆくテポドンを打ち落とすのは技術的にまだ無理である。
アメリカは、北にミサイル発射や核実験を止めさせる手元カードを切り終わった。結局は、日本に請求書が回ってくるだろう。日本も、早期警戒衛星を持つべきである。ソマリア沖海賊対策は、日本の補給生命線として守るのは当然であり、自衛艦二隻を護衛に出し、また、P3C対潜哨戒機を出して監視するのも国際社会の一員として必要。なお、米は、アフガニスタン防衛へ日本の自衛隊投入を要求してくるだろう。
日本は、こうした事態に早急に対処できる体制をとるべきだと説かれ、勉強になりました。

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