平成20年12月19日(金) |
民主党オバマ政権と、日本の対応! |
柳井俊二先生
元外務省総合外交政策局長・外務審議官・フランス大使歴任講話概要
アメリカ大統領選挙で、バラク・オバマ氏が圧勝し、アメリカで最初の黒人大統領が誕生する運びとなりました。大統領就任式は明年1月20日ですが、すでに、その
閣僚人選が始まっております。つまり、アメリカは、これまで八年間の共和党政権から、新春には、民主党政権へと切り替わるわけです。昔は、アメリカで政権が変わると地方の郵便局長まで代わるといわれたものですが、いまはそれほどではないにせよ、政府機関の幹部は総入れ替えとなるのが通例です。こうして、アメリカの政権が、共和党から民主党に代わると、日本に対するアメリカの政策はどうなるのでしょうか。日本は、どう対処すればよいのか、が問題となります。
そこで、今回は、この課題が最もわかる方、すなわち、外務省事務次官の後、平成11年、民主党クリントン政権のときに駐米大使となり、引き続き共和党のブッシュ政権でも駐米大使を勤められた柳井俊二先生に、御講話を御願いいたしました。
その御講話の内容は、広範な分析・解説で、期待通りのものでした。概要は、オバマ圧勝の原因は、各州で勝利した側へ選挙人すべてが算入されるアメリカ特有の制度を説明され、また、マケインはベトナム戦争の英雄であるが、投票者の多数を占める若年層はベトナム戦争への認識がないこと、ブッシュのイラク戦争失敗、急速な経済・金融危機が、オバマ勝利へ働いた。また、オバマ次期政権は、アメリカの経済・金融危機に対し、議会選挙でも州知事選挙でも勝利したので、それが逆であったクリントン政権と異なり、安定政権といえ、政策によっては、早期回復もありえる。その対日政策は、クリントン政権で日本バッシングが行われたので危惧する向きもあるが、対日赤字も10%程度に過ぎないしオバマ発言では、日米同盟重視、中国との距離感、気候変動対策を言い、親日派も閣僚に入れている。それを踏まえ、日本側は、経済・金融危機打開への協力、集団的自衛権行使の解釈変更など、協力姿勢を明確にし、その考えを伝えていくことが大切である、と述べられ、感銘しました。