平成16年12月21日(火) |
中国原潜の日本領海侵犯の経過と |
恵谷治先生
ジャーナリスト、軍事問題専門家講話概要
去る11月10日、細田博之内閣官房長官は「本日早朝、国籍不明の潜水艦が沖縄県の先島群島周辺海域の我が国領海内を潜行しているのを、海上自衛隊の対潜哨戒機P3Cが確認、追尾している旨」発表。しかし、日本政府は当初、中国原潜であることを秘し、日本領海を脱してから初めて、中国原潜であるとして、中国政府に謝罪を求めました。中国は、11月16日になってやっと自国原潜であることを認め、「技術的原因から誤って入ったもので遺憾」と表明。これを、小泉総理は「陳謝したと受け止める」とし、世間では、これで一件落着としました。
しかし、軍事専門家の恵谷治先生によると、この件は、そんな単純なものではなく、中国側はある意図に基づいての行動であり、他方、米軍は中国原潜が中国の軍港を出発するときから監視しており、日本の海上自衛隊も早くから知っていた、とされています。こうして、この件は重要な内容を秘めていると思われますので、恵谷治先生に御解説を頂くことにしました。
先生は、まず中国の原子力潜水艦について、そのタイプには中国歴代王朝の名から取った夏級、漢級、宋級、明級などがあり、段々に進歩してきているとしてその性能を説明され、今回、領海侵犯したのは漢級の405号(別名・長征五号)であるとされました。また、恵谷先生は作図した周辺海域地図に、その原潜の航路を日時を追って書き示され、さらに米軍の情報把握情況、日本側の対応情況、そして中国が領海侵犯した意図などについて詳しく説明され、大層勉強になりました。その後の意見交換も、原潜問題のほか、P3C対潜哨戒機、ミサイル防衛等々、盛んでした。