令和6年11月22日(金) |
日・韓・台が共有する危機感を分析する! |
河崎眞澄先生
東京国際大学教授
概要
日本は、核武装をした独裁3ヶ国に取り囲まれている。
北朝鮮は、韓国の文化が流入してくることを堕落と考え、ロシアとの連携を強化している。そして、それが唯一の生き残りの道と考えている。ウクライナの前線に1万1千人の兵士を派遣する見返りに、石油・兵器・核技術・原子力潜水艦などを得ようとしている。10月31日に発射した弾道ミサイルは、射程距離はほぼ地球全域に届くまで性能を向上させており、移動式なのでどこから撃って来るかも分からない。日本は、これに対し何の対策もしていない。
ロシアは、2年前にある高官が「北海道の全権はロシアにある」と発言しており、トランプによるウクライナ停戦が実現した場合、北海度が軍事侵攻の標的になってもおかしくない。
中国は、経済が悪化し、若者の失業率の増加、ゼロコロナ政策による閉塞感などで、国民の不満は溜まっている。その不満を外部にそらそうとし、2027年の人民解放軍建軍100年、そして習近平政権4期目のスタートまでに目に見える業績を、と考えた結果、台湾への武力侵攻が行われる可能性は十分にある。そして、習近平を止められる人間も誰もいない。今年5月には、空域・海域で台湾を封鎖する大規模軍事演習を行っている。
もし、台湾への軍事侵攻が行われたら、果たして日本にその備えは出来ているだろうか。台湾には2万人の日本人が在住しており、台湾人の難民も出るだろう。戦火が広がれば、140万人の沖縄県民も受け入れる場合も想定される。ウクライナ戦争の時は、ポーランドがその役割を果たしていたが、同じ役割が日本にできるだろうか、と問われると、ヒトもモノもカネもすべて足りないといわざるを得ない。日本1国で対処できないとすれば、同盟を強化するしかない。韓国は、また文在寅のような親北朝鮮の人物が大統領に選ばれる懸念はあるが、最大の敵は中国なのだから、大同小異で味方につけておく。バイデン政権の日米間同盟の枠組みをトランプ政権でも生かせるかどうか。
そして、ロシアと北朝鮮の「包括的戦略パートナーシップ条約」、中国と北朝鮮の「中朝友好協力相互援助条約」、ロシアと中国の「中露善隣友好協力条約」に対抗する形で、英・米・豪のAUKUS(3カ国安全保障パートナーシップ)、日・米・豪・印のQUAD(4カ国戦略対話)、英・米・豪・加・ニュージーランドのファイブアイズ(機密情報共有枠組み)といった軍事同盟に、台湾を関与させれば、対中国で大きな抑止力になる。中国相手の経済的利益を重視する日本の経済界に対しては、安全保障と目先の利益とどちらが大事なのか、と問いたい。
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