令和4年10月18日(火) |
橋是清公を偲び、日本経済の再建を考える! |
松元崇先生
旧大蔵省主計局次長、内閣府政策統括官、官房長、
内閣府事務次官
概要
アベノミクスの成果と積み残した課題
アベノミクスは、@金融緩和、A財政出動、B規制緩和の3本の矢を掲げて、金融緩和を行い、積極的な財政出動によって民間投資を喚起、就職難を解消し、有効求人倍率は1.5に上昇。若者に希望を与えた。ただし、Bの規制緩和、特に賃金と企業収益の好循環は道半ばである。生産性の向上がなければ、先進国ではなく衰退途上国になってしまう。
過去の経済政策に学ぶことがあるとすれば、池田内閣のブレーン、下村治が、国の財政投融資を契機に生産性を向上させ、好景気を呼び込む考え方である。ケインズも、成長戦略については、起業家精神が経済成長をもたらすと述べていた。下村は、社会インフラの充実・産業構造高度化への誘導・貿易と国際経済協力の促進・人的能力の向上と科学技術の振興・二重構造の緩和と社会的安定の確保を謳い、池田内閣は所得倍増計画を選挙で掲げ大勝。安定政権を手にし、経済成長率は平均11%を維持、国民の所得倍増を達成した。。
もう一つ、高橋是清は世界恐慌から立ち直るため、予算を5割増、窮乏町村への財政補給金や特別助成、インフラ投資、貿易振興、中小工業支援策、液体燃料政策などに予算を計上した。軍の予算を削減したことで反発を買い、2.26事件が起きてしまったが、都市部は好況に沸いた。
この2つの経済政策を活かし、イノベーションを喚起するとともに、向上発展に乗れなかった人の援助策が、失われた30年からの脱却に必要だ。
●ご案内状(pdf)