令和2年11月18日(水) |
国内的・国際的に重要な環境政策の諸問題! |
南川秀樹先生
自然環境局長・地球環境局長・官房長、
審議官歴任の上、環境事務次官
概要
昨年、今年と世界各地で起きた異常高温・豪雨・ハリケーン(台風)の巨大化、南極北極の氷の融解などは、地球温暖化の影響が大きい。温暖化を抑制するには、温室効果ガス、特にCO2
を減らす必要がある。私もCOPに参加した際に、各国がCO2削減目標を定めるプロセスに関与したことがあるが、欧州を中心に具体的な目標を定めている。だが、2050年に気温上昇を1.5℃以内に抑えるには、2030年を排出量のピークと主張する世界最大の排出国中国、そしてパリ協定から脱退したアメリカの協力が欠かせない。
菅義偉総理は所信表明演説で、2050年までにCO2排出量0を掲げた。目標達成のためには、エネルギー消費量の削減、エネルギーの低炭素化、利用エネルギーの転換の3本柱が必要となる。エネルギーの低炭素化のためには、原発の再稼働も必要になって来るが、急増は難しい。再生可能エネルギーの普及も、日本の気象条件からして、難しい問題である。最も有望なのは洋上風力発電であるが、洋上風力だけで再生エネの比率が大きく上昇するわけではない。また、日本国内で洋上風力の各種設備を製造している企業がない。CO2の地下貯留も検討されているが、日本国内で行うのは難しいので、各国と協力して進めていきたい。各種企業は脱炭素に向けた努力を進めているだけに、この問題をどう解決していくかがカギとなる。
●ご案内状(pdf)