平成27年12月22日(火)

世界から孤立している日本の診療ガイドライン

大櫛陽一先生

大櫛陽一先生

東海大学名誉教授



概要

 日本における高血圧・コレステロール・中性脂肪の基準は、すべて欧米と比較して大きく違っている。つまり、病気でない人間まで余分な薬を投与され、無駄な医療費を費やしているのだ。
 まず、高血圧について、2013年のアメリカの基準で60歳では150mmHgまでは正常だが、日本では140mmHg以上は全て高血圧と判定され、降圧剤を投与されている。降圧剤投与は、脳梗塞のリスクがあり、血圧が20以上下がると死亡率は5,6年で最大10倍に上昇する。そもそも年齢に応じて血圧が上がるのが自然で、食生活の改善により日本人の血圧はさがって来ているのに、高血圧の患者数が増えているというのはおかしい。
 コレステロールについては、ここ10年で高コレステロールは健康に影響ない、というのが通説になり、低コレステロールの方がかえって鬱病や脳卒中になりやすく、コレステロール低下薬にも副作用がある。卵の過剰摂取についても影響ないことがわかった。2015年にアメリカが摂取制限を撤廃したのを受け、日本もコレステロール摂取制限を廃止した。
 メタボについて、日本の測定基準は臍の位置だが、女性の臍の位置は骨盤にかかり、意味がない。国際基準はろっ骨と骨盤の間の骨のないところである。さらに、日本の基準は男85cm、女90cmだが、女性の方が大きな値になっているのは日本だけだ。また、85cmは国際基準で平均値にあり、日本人男性の半分はメタボと診断される。体脂肪率も欧米の30に対し、日本は21.1である。つまり、平成20年に開始された特定健診は、病人でない人間まで病気にしてしまい、健康不安をあおり、医療費をかえって上昇させているものだ。

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