平成27年9月18日(金) |
日本を取り巻く国際情勢を分析する |
ペマ・ギャルポ先生
桐蔭横浜大学・大学院教授、
御専門は国際政治・国際関係論
概要
日本は、ASEANやSAARCなどアジアの機構に加盟しておらず、APECでも中国の影響が増している。中国人には、一度中国の影響下に入った地域は中国の領土、とみなす民族性が連綿と続いており、尖閣諸島に固執するのもそのためだ。私の生まれたチベットはじめ、内モンゴル、東トルキスタン、ウイグルは武力で制圧され、経済的発展した今、武力による海洋進出を進めている。もはやアメリカも、こうした中国の動きに一国だけで対抗しようとは考えない。そこで、日本がすべきことは、インドとの関係強化である。インドとは敵対関係にあったことは一度もなく、古くはパール判事やチャンドラボーズなどもおり、今のモディ政権も親日的だ。そしてインドも中国との間に領土問題を抱えている。最近では親中派で有名なキッシンジャーすら「日印が協力して中国の行動を封じ込めるべきだ」などと発言している。インドの発展スピードは中国より今は緩やかかもしれないが、パキスタンと違って軍事クーデターは起きておらず、政治的には安定している。人口ピラミッドを見ても、若年層が最も多い正三角形型で、今後少子高齢化になるであろう中国とはその点でも違う。安倍総理が、インドとの関係強化を図っていることは、高く評価したい。
日本の国土は狭いかもしれないが、領海は世界12位である。これまでは、領海防衛に対する意識が低かった。これからは、地球的視野に立って物事を見なければならない。安保法制も、一国だけで自国を防衛しようとするのは今の軍事情勢では不可能に近いから必要なのである。最後になるが、私が日本に亡命する際にビザ発給の仲介の労を取って下さった創立会長・岸信介先生に感謝の意を表したい。