令和4年4月12日(火) |
ロシアの核兵器管理使用システム、プーチンの人間性・習性・意図について |
名越健郎先生
拓殖大学特任教授(海外事情研究所、元時事通信社モスクワ支局長・外信部長)
概要
ウクライナ侵攻は、プーチンの独断で決断した。クリミアや東部二州の時は数日で侵攻に成功したため、今回も5月8日にはウクライナ全土の侵攻に成功することを見込んで北京五輪終了後に作戦を始めた。しかし、今度はウクライナ軍が激しく抵抗し、カナダも後方から支援している。短期で終わるという見通しは極めて甘かったといわざるを得ない。プーチンは、コロナ禍で閉じこもって歴史書を読み漁っているうちに、人が変わってしまい、側近の話にも耳を貸さなくなってしまった。プーチンに会った各国の首脳も、話がかみ合わないと証言している。アメリカが民主党政権に代わったのも要因の一つだ。トランプとは馬があったが、オバマとは折り合いが悪く、バイデンも「殺し屋」と呼び、これに怒ったロシアが兵力を増強していたこともある。この戦争は長期化し、ロシア軍もより一層残虐化すると思われる。今アメリカが深く介入しないのは、賢明な判断と思われる。もしNATO軍がウクライナを助けようとすれば、戦略核兵器を躊躇なく使うだろう。
日本の対ロシア外交も、成果を出せていたとは言い難い。ロシアが経済的に困窮していた時期に、経済援助をせず、まず北方領土の返還の話から始めてしまった。軍事的に力を得た今では、戦争の結果得た領土と主張し、対話で返還される見込みはない。
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