平成31年2月21日(木)

米中対立と東アジア安全保障への影響!

飯田将史先生

飯田将史先生

防衛省防衛研究所・中国担当主任研究官



概要

習近平の中国は、その経済発展とともに、伝統の中華思想に基づいて、近年では「一帯一路政策」と共に、中国主導の「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)および「シルクロード基金」を設置して、世界の36力国に及ぶ76港湾を運営するに至っており、それは正に、アメリカと地球の覇権を争う様相であり、トランプ大統領もかなりの決意をもって対処しています。そうした事態でもあり、2月21日月例会は、「米中対立と東アジア安全保障への影響!」と題し、飯田将史先生に情勢分析をお願いしました。
 その内容は広範多岐にわたりましたが、その一部を紹介しますと、アメリカの対中貿易赤字は約8000億ドルで赤字の半分を占めている。対日赤字の690億ドルに比べても巨額である。トランプ大統領はその原因を、中国による(1)国有企業への巨額の補助金や融資、(2)外資企業への圧力、(3)技術の窃取もあるとして、中国へ大幅な関税を掛けた。中国も対抗措置を取っている。昨年10月4日のペンス副大統領の対中政策演説は、それを、経済面、政治面、外交面、安保面に分けて詳しく論難している。なお、アメリカの目標は、世界における軍事的優位の維持、対立諸国からの核攻撃能力の除去、同盟諸国への脅威も低減する、特に北朝鮮に対する非核化の実現、その為の軍事力による抑止、経済制裁の強化、等々がある。他方、中国は、毛沢東以来、「アメリカ帝国主義を打ち倒す」と言い、世界の現状変更の意思は変わらない。そして、中国の高度経済成長期に入り、軍事的にも実力をつけてきた。そうした時期に主席となった習近平は、「中国の特色ある大国外交」を展開するといい、その目標は「人類運命共同体」であり「新型国際関係の構築」だとし、「一帯一路政策」を掲げ、積極的に世界各地に進出してきているとし、さらにその掘り下げた御解説があった。参会者一同も熱心に耳を傾け、質疑応答も盛んで、大層勉強になりました。(清原記)
ご案内状(pdf)

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